解説その1:
離婚の際にする財産の清算を、財産分与という
離婚とは、1つの生活を2つに分けることをいいます。これには、夫婦の”財産”を2つに分けることも含まれます。そして離婚に伴って”夫婦の財産を2つに分けること”を財産分与と呼びます。
解説その2:
清算する財産中に「不動産」がある場合は、不動産の名義変更(登記)となる
財産分与でいう「財産」とは、極論をいえば”夫婦生活をするうえで購入した物”ほぼ全てが含まれます。「婚姻生活に必要な家財道具」「不動産(土地・建物、マンション)」「車」「預貯金」「有価証券」が代表例です。
また、勘違いしやすいですが、その財産の所有名義が夫婦のどちらかになっていたとしても、もう一方の夫婦の協力があって取得したと考慮されますので、夫婦共有の財産として財産分与の対象となります。
なお、次のような財産は離婚による財産分与の対象となりません。これらは夫婦生活をするうえで購入した物ではないためです。
- NG 婚姻前から持っている財産
- NG 婚姻後に相続した財産
- NG 贈与により取得した財産
解説その3:
離婚による財産分与を原因とする不動産の名義変更は双方の協力が必要
財産分与の対象となる不動産の名義変更(所有権移転or持分移転)が必要な場合に、ご夫婦双方が準備する書類が必要になります。そのため、離婚後に連絡が途絶えたり、行方を知れない状態ですと、名義変更の登記申請ができなくなります。
このように名義変更ができなくなることのないよう、離婚をする際に必ず不動産の名義変更を済ませておくことを強くお勧めします。
離婚による財産分与の詳細情報は「こちら」へ→
離婚による財産分与手続が必要な方
婚姻中に夫婦生活のために不動産を購入した方で、なおかつ
夫婦生活のために購入した不動産の名義が、財産分与により変更になる方
財産分与の必要書類
財産分与をする財産に不動産があるならば、不動産の名義変更登記(財産分与による所有権移転登記)をする必要があります。
この登記の際の必要書類は、次のとおりです。
なお、財産分与の登記の前提として他に必要手続がある場合など、他の書類が必要となるケースもあります。 詳細については、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
1.財産分与をする方 必要書類
- 財産分与を証明する書面 ※
- 戸籍謄本(離婚後のもの1通)※
- 不動産の権利証(または登記識別情報)
- ご実印
- 印鑑証明書(作成後3か月以内のもの1通)
- 不動産の固定資産評価証明書 ※
- 本人確認書類(運転免許証等)
※ の書類は、当事務所にて作成又は代行取得することができます。
2.財産分与を受ける方 必要書類
- 戸籍謄本(離婚後のもの1通)※
- 住民票(1通)※
- ご印鑑
- 本人確認書類(運転免許証等)
※ の書類は、当事務所にて代行取得することができます。
実例紹介(よくあるトラブル事例)
離婚時に不動産を財産分与と決まったものの、登記をせずに放置した場合、以下のような思わぬトラブルに遭遇する可能性がございます。
このような事態を回避するためにも、なるべく速やかな登記を推奨しています。
その1:相手と連絡が取れないゾ!
離婚による財産分与で不動産が含まれている場合、その特徴は「双方の協力が必要」という点です。離婚後の生活は、もちろん別々となるため、時間が経過することで相手の生活にも変化が生じます。たとえば転居や携帯電話の変更など、連絡が取れなくなる要素が増えていきます。
ところが、必要書類でもお気づきの方もいると思いますが、離婚による不動産の名義変更登記では、お互いの協力(提出書類や当事者の署名押印など)が必要です。
登記を放置し、相手との連絡がとれなくなると、名義変更の登記ができなくなる可能性が高まるのです。
その2:勝手に他人の不動産に!
不動産の名義変更登記の優れた点は、「登記さえ法務局に申請してさえいれば、自分が所有者であると、第三者に対しても主張できる」ことです。
逆に、登記をしなければ、(財産分与の合意が成立して自分が所有者と決まったとしても)自分が所有者であることを第三者に主張できないことを意味します。
仮に、譲った相手方がその不動産を勝手に第三者に売却したとします。あなたに登記がなければ「その不動産は財産分与で私がもらったものだ」と第三者に主張できないのです。逆に第三者が先に登記を備えたら、あなたに対して「この不動産は私が買ったものだ」と取得できてしまうのです。
お早目の手続きを。
その3: 住宅ローンが滞納→差押え(住む場所が!)
通常、住宅を購入する時には住宅ローンを利用します。たとえば、ご主人名義で購入した住宅に金融機関の住宅ローン担保(抵当権)が設定されているケースです。
仮にこの場合に離婚が成立し、奥様がその住宅を取得(財産分与)したとしても、移転登記やローン内容等を変更せずに放置した場合、奥様に何が待ち受けているのでしょうか?
離婚したとしても、この場合、住宅ローンを支払義務者はご主人です。出て行ったご主人が、誠実に住宅ローンの返済を続けてくれれば問題ございませんが、滞ってしまうことが多いのが現実です。
実際に自分が住んでいるわけでもなく、まして自分の物でもない住宅です。ローンの支払いが滞ってしまうのは、ある意味で予想しやすい結末かもしれません。
このようなケースでは、返済が滞る以上、(奥様が現に住んでいるかは問わず)金融機関が担保実行により差押え、強制競売になって他人の手に渡ってしまうということが起り得るのです。
住む場所を失う可能性があるのです。
その4: 放置したら手続が複雑になってる!
離婚後はもちろん別居が通常ですから、お相手の生活にも変化が生じます。
引越し、再婚、死亡などが代表例でしょうか。
仮に、離婚による財産分与の登記をしないうちに、離婚したご主人が再婚して子供が生まれ、その後死亡してしまったというケースでは、どうなるでしょうか。
離婚による財産分与の登記には夫婦双方の協力が必要です。この場合、名義変更の登記をするためには、亡くなった元夫に代わってその方の相続人(再婚後の妻と子)の協力を得て行うことになります。喜んで協力してくれるでしょうか?
そもそも、このようなケースでは、「財産分与が有効だったのか否か」といった点が争いの火種になったり、必要書類が非常に複雑になることが容易に想定されます。
手続を先延ばしにして良いことは、特になさそうです。
住宅ローン返済中の不動産の場合
離婚による財産分与の対象財産として、不動産(土地・建物・マンション)を分与する場合に問題となるのが、当該不動産に住宅ローンが残っているケースです。
当事務所において離婚による財産分与に関するご相談いただく方の年齢層は、ローン返済中の30代から40代が中心です。
こうした年齢層の方の場合、不動産を購入し、住宅ローンを組んでからの期間が、比較的短いため、住宅ローンを残し、不動産に金融機関の抵当権が設定されているということが通常です。
このようなケースでは、金融機関との住宅ローン残高や残年数の問題、不動産の現在の名義の状況、相手方との関係など、さまざまな点を考慮し、最善の道を選んでいく必要があります。
一人で悩むより、専門家を頼るという選択肢が得策ではないでしょうか。
まずは、当事務所までお気軽にご相談ください。
基本報酬(価格)
財産分与の不動産名義変更登記を当事務所におかませ頂く際に重要な要素が、当事務所への報酬となるでしょう。また、当事務所への依頼によって、どの程度の負担軽減になるのかも重要な要素となるでしょう。
(1)おふたり の作業内容
- 当事務所へ依頼してよいか、他の配偶者へ打診
- 必要な書類を当事務所へ郵送
- 委任状などにご署名、ご捺印
おふたりの作業はおおむね3つ。他の作業は当事務所が代行します!
当事務所がお二人の間で、書類授受などを担当させて頂きます。
(2)当事務所 の作業内容
- 法務局にて不動産の状況調査・確認
- 各行政機関にて、戸籍、住民票の取得
- 固定資産評価証明書を取得
- 法務局に登記申請の打合せ、相談(ケースに応じて)
- 提出する登記申請書の作成
- 法務局へ登記申請書および必要書類の提出
- 登記完了後の登記済証(現:登記識別情報通知)の受領
費用(財産分与による所有権移転登記)
当事務所の料金一覧のご案内です。
手続料金には、「①当事務所報酬」と「②実費(登録免許税など)」が含まれます。
明確で分りやすい価格表示を心がけておりますが、ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問合せください。
財産分与による所有権移転登記 諸費用
①基本報酬: 6万6000円~
②実 費 : 免許税(固定資産評価額×2%)/戸籍取得実費等
手続全体の費用は、目的となる遺産金額や手続内容により変動します。
詳細につきましては、ご依頼前に事前見積(概算)致しますので、お気軽にお問い合わせください。
※固定額プランもご用意しておりますので、ぜひ一度、ごらんください。
財産分与と税金
離婚に伴う財産分与をする場合、「税金はどうなるんだ?」という疑問が頭をよぎると思います。
手続終了後に予期せぬ税金の通知等がこないよう、ある程度は調査すべきでしょう。
→ 離婚による財産分与の税金については「こちら」をごらんください。
もっとも、税金については慎重な姿勢が重要ですので、手続きをする前に、実際に管轄税務署等へ尋ねることを強くお勧めしています。
婚姻中のマイホームの売却も 強力バックアップ!
離婚による財産分与の登記をご相談される際、一方が住み続ける選択もあれば、夫婦双方ともに居住せずに、離婚を期に婚姻中に保有し不動産(マイホーム)を売却して現金で財産分与するという選択をされる方たちもいます。
住宅ローンの問題であったり、お互いの生活環境の変化で求める居住空間が異なり(広すぎたり、生活圏の変化など)、不適切な住居に変化したためです。
当事務所では、不動産売却に関連する専門家(相続手続の専門家たる司法書士、税務会計の専門家たる税理士、不動産の売却準備たる測量の専門家たる土地家屋調査士、不動産売買仲介業者等)が連携することで、離婚に伴う不動産の売却を強力バックアップ!しております。
特に、下記に該当する方は、まずはお気軽にご相談下さい。
婚姻中に購入した不動産、誰も住まないので、売却したい
離婚後も関係を維持しつづけるのは困難なので、売却したい
現金で財産を分けて、すっきり旅立ちたい
売却だけではなく、ローンや税金面も心配
不動産業者と聞くと、なんだか怖い
専門家を間にはさんで、冷静に不動産を売却したい